当社はソフトウェア開発会社であり、まさに「人材が付加価値創出の源泉である」と言えます。
そのため、全社員が安全に仕事に臨める環境を整えること、かつ心身ともに健康を保つよう絶えず健康増進を推し進めることが、会社の経営の安定・発展に繋がると考えています。
つまり、「社員の健康が第一。社員の健康を増進することが会社経営の基本である」というのが私の考えです。
近年、当社のソフトウェア開発の現場では、開発の高速化・高度化・複雑化が進んでいるのに加えて、テレワークの広がり・グローバル拠点とのコミュニケーションなど、社員の働き方・環境・必要スキルが目まぐるしく変化しています。
その中で、時代にあった就労環境の提供と、社員ひとりひとりに健康に関する意識付けをするために「社員の心身の健康維持と生産性向上を目指す健康経営の推進」を全社重点実施項目に掲げ、関係部署に取り組みを指示しています。
労働時間管理、生活習慣病対策、がんの早期発見、メンタルヘルス対策など社員の健康向上のために行う施策は多岐にわたりますが、キヤノン株式会社の健康支援室とも連携し、さまざまな角度から、社員が体も心も健やかに仕事に向かえる環境づくりに経営層一丸となって取り組んで参ります。
キヤノンイメージングシステムズ株式会社
代表取締役社長
キヤノングループでは、安全衛生を企業経営の基盤と位置づけ、「安全なくして経営なし」という理念のもと、安全・安心を確保していくことが企業経営の最優先事項と捉え、労使一体となって災害・事故・健康障害の未然防止に取り組んでいます。
キヤノンイメージングシステムズでは、代表取締役が委員長を務める「全社安全衛生委員会」と拠点ごとに設置している「拠点安全衛生委員会」と人事部門が連携し、労働災害の撲滅、健康の維持・増進、交通安全、防火・防災、快適な職場づくりなどを推進しています。
安全衛生委員会では、年ごとに安全衛生活動実施計画にて重点実施項目を立案し、その計画に沿って活動を行っています。
キヤノンイメージングシステムズは、安全衛生管理規程を遵守し、安全・安心で快適な職場環境づくり、交通安全活動、防火・防災活動を社員全員参加で推進しています。
キヤノン株式会社がキヤノングループ各社を対象として包括的に進めている労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)に則したリスクアセスメント管理基準に沿って、安全衛生担当者を対象とした同基準の確実な実施に向けた教育や、職場管理者を対象とした教育を実施しています。また、主に業務災害・生活型災害に関するリスクアセスメントを実施し、リスクの低減対策や残留リスク対策を絶えず進めています。
業務災害に関しては、職場に事故を誘発する場所がないか、安全衛生委員が毎月巡視を行い、リスクの可視化と低減に努めています。
このほか、常に安全衛生を意識する職場風土の醸成に向けた活動として、定期的な安全衛生教育の実施やグループ共通の啓発ポスターの掲示等により、作業時の基本的な安全行動の確認・励行の啓発を行っています。
生活型災害に関しては、通勤時の怪我等が発生した場合は直ちにイントラネットサイトにて情報を配信し、原因と対策を公開することで類似災害発生の未然防止を図っています。
また、冬期は、降雪・凍結予報に応じて人事部門から社内に警戒情報を流すなどし、転倒等による怪我の未然防止に努めています。
重大交通事故・重大交通違反の防止のために、定期的な注意喚起に加えて、長期休暇前には事故事例を紹介し、気持ちの引き締めを図っています。
春と秋に交通安全推進月間を設けて、運転者および歩行者両面での注意を啓蒙しています。
また、飲酒運転に対しては継続して撲滅するための教育を実施しています。飲酒運転は言うまでもなく、日常でも過度なアルコール摂取が身体にどう影響を与えるか等、科学的な側面から教育を実施し、アルコールが原因で引き起こす事故・事件等の撲滅にも努めています。
災害対策として、地震等を想定した全事業所での拠点本部立ち上げ訓練や情報伝達訓練を実施するとともに、全社員を対象とした各拠点での避難訓練を行っています。
就業時間外に災害が発生したときのために安否確認システムを導入し、定期的に安否確認訓練を行い、いち早く社員の安全を確認できるよう準備しています。
夜間稼働装置の管理を徹底するとともに、長期連休前後には、機器装置点検を実施し、発煙発火防止を行っています。
また、拠点ごとにAEDを備え、救護要員には普通救命講習にて使い方の講習を実施し、社内での急病人の発生に備えています。
キヤノンイメージングシステムズでは、グループ行動指針の一つである「健康第一主義」に基づいた取り組みが、社員の生産性を向上させる原動力であると考え、安全衛生委員会・人事部門が一体となって「健康経営」を推進しています。
キヤノンイメージングシステムズ健康経営戦略マップ(0.13MB)
キヤノングループでは、メンタルヘルス対策として、4つのケア(セルフケア、産業保健スタッフによるケア、管理職によるケア、外部機関によるケア)と一次予防~三次予防を組み合わせた各種プログラムを展開しています。
セルフケアに関しては、社員ひとりひとりが自身の心身の状況を把握し、メンタルヘルス不調を未然に防止するためのセルフケアを行う動機付けとして、ストレスチェック受検を推奨しています(2023年度受検率 91%)。加えて、高ストレス者に対しては産業医面接または産業保健スタッフ(保健師・産業カウンセラー)による健康相談を実施し、メンタル不調の芽を摘み取る取り組みを実施しています。
メンタル不調者に対しては、産業保健スタッフが早期に面談を行い、症状・状況に応じて療養の促し、産業医・医療機関等との連携を行なうことで深刻化防止に努めています。
また、休職者に関しては、復職前に復帰支援プログラムを実施し、復帰後も定期的に面談を行うことで、無理なく確実に業務に復帰できるようサポートしています。
また、管理職に向けたメンタルヘルス研修を毎年実施し管理レベルの底上げを行うことで、職場での支援力・対応力の向上に努めています。
キヤノングループでは、健康診断の結果について事後措置基準を統一し、重症化予防を徹底しています。生活習慣病ハイリスク者には産業医面談と受診勧奨を実施し、発症のリスクを低減するよう努めています。
また、イントラネットの掲示板・社内ポスター等で生活習慣病を防止するための運動・食事に関する記事を掲載し啓蒙するとともに、歩行数を記録して競う「歩活チーム対抗戦」や、社内自動販売機にて低カロリー食品を販売するなど、柔軟な考えで積極的な取り組みを行っています。
適度な運動を促進するため、経営層が旗振り・自ずから参加して「歩活チーム対抗戦」を実施し、優秀チームを表彰することで、楽しく健康意識を高められるよう取り組みを行っています。
また、近年、睡眠と生産性に深い関係性があると言われていることを受けて、従業員自身が睡眠に対する理解を深め、生産性と働く喜びを高めることができるよう「睡眠」をテーマにしたセミナーを実施しています。
さらに、がん対策では、がんの早期発見の重要性を啓蒙すると共に、がん検診予約会を実施し、社員がより検診を受けやすい仕組みづくりを行っています。実際にがん検診を受診した社員の生の声を社内イントラネットに掲載するなどして、がん検診への心理的しきいを下げる情報開示も行っています。
新型コロナウイルス対策としては、キヤノングループのガイドラインに沿って感染者・濃厚接触者の出勤を管理するとともに、相談体制の設置や、社内感染を防ぐための衛生備品の設置などの対策を行いました。
また、ワクチン接種に関しては、キヤノンの各拠点や地域の医療機関と連携して希望者全員に早期の接種を完了しました。
海外渡航者に対しては、渡航先の国や地域に応じた各種予防接種を会社負担で推奨し、社員が安心して働けるバックアップを行っています。
健康経営に取り組む各種の施策が従業員の生産性向上や組織の活性化にどのように繋がっているかの効果測定・分析を実施し、次の取り組みに継続的に繋げています。
指標 | 目的 | 実績値(2022) |
---|---|---|
アブセンティーイズム(※1) | 疾病の未然防止による不在期間の最小化 | 0.43% |
プレゼンティーイズム(※2) | 就業時パフォーマンスの向上 | 87% |
ワークエンゲイジメント(※3) | 安定して長く働ける職場の構築 | 1.5点 |
指標 | 目的 | 実績値(2024) | 測定人数 | 回答率 |
---|---|---|---|---|
アブセンティーイズム(※4) | 疾病の未然防止による不在期間の最小化 | 6.5日 | 368 | 74.2% |
プレゼンティーイズム(※5) | 就業時パフォーマンスの向上 | 88% | 368 | 74.2% |
ワークエンゲイジメント(※6) | 安定して長く働ける職場の構築 | 4.0点 | 368 | 74.2% |
ヘルスリテラシーの指標 | 2023年 |
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喫煙者率 | 8.6% |
運動習慣者率 | 21.1% |
メンタルヘルス関連の指標 | 2023年 |
ストレスチェック受診率 | 91.0% |
高ストレス者率 | 9.0% |
健康診断結果・生活習慣病ハイリスク関連の指標 | 2023年 |
定期健康診断受診率 | 100.0% |
特定保健指導実施率 | 60.0% |
定期健康診断後の精密検査受診率 | 41.4% |
ハイリスク者の管理(治療継続)率 | 100.0% |
適正体重者率 | 71.6% |
がん対策の指標 | 2023年 |
40歳以上がん検診受診率 | 65.2% |
がん検診女性コース受診率 | 33.3% |
当社は、経済産業省と日本健康会議が共同で実施する「健康経営優良法人(大規模法人部門)」に選定されました。
健康経営優良法人認定制度とは、地域の健康課題に即した取り組みや日本健康会議が進める健康増進の取り組みをもとに、特に優良な健康経営を実践している法人を顕彰する制度です。
当社がソフトウェア開発を主軸に据えた事業展開を行う中で、「人材こそが最大の資源」という考えのもと社員一人ひとりの健康増進を経営の基本方針として掲げ取り組んできたことが評価されました。